契約書をチェックして、リスクを予測する。
多くの経営者や担当者の皆さんは、契約書にサインする前に、行っていることだと思います。
ここで、「リスク」ということを少し具体化して考えてみたいと思います。
契約書をチェックする際の「リスク」の視点です。
リスクの視点を持つことで、より具体的に検討することができるようになってきます。
また、リスクを想定した後に、そのリスクの評価や、対応ということも考えることになります。この評価や対応も、契約書をチェックしながら、想定されるリスクが具体的であればあるほど、評価も対応策も具体的になってきます。
では、契約のチェックから想定するリスクの視点とは?
リスクを想定する視点
リスク考えるというときに、漠然としていませんか?
契約書をチェックする際の視点を明確にすることで、漠然とではなくなります。その視点は主に5つとなります。
➀ビジネスの目的が達成できない=サービス提供や代金の未払い
これは、普段のチェックでも意識しているかもしれませんね。
➁損害が発生した場合の対応
この損害は、ビジネスの相手に損害を発生させたり、自分に損害が発生した場合となりがちです。これに加えて、第三者に損害が発生した場合や第三者が損害を加えた場合ということも考えなければなりません。意外と見落としがちなのが「第三者」からの損害賠償です。
③法令違反がないかどうか?
契約は基本的には自由ですが、業法によって取り締まりがあったりするケースもあります。したがって、法令違反がないかどうか?も気を付けないといけません。
➃知的財産権の問題
情報というものは、一度、流出してしまうと元に戻せません。秘密情報や知的財産(特に特許など権利化できていないノウハウ)などの管理についても気を付けましょう。
➄もし裁判になったら?
普段のチェックでは、ここに重きを置いてしまうかもしれませんが、裁判所はどこ?など基本的なことのチェックも忘れずに。
ざっと挙げると以上のような視点です。
より具体的に検討してみるための視点
ここからは、リスクを想定する視点を持ちながらもどうチェックしていくか?です。
まずは、ビジネスモデルを把握するということです。5W1Hの視点で分析して、誰が何をいつまでにどのようにするのか?ということを把握します。
また、過去の取引も思い浮かべてみてください。過去の経験からの成功事例・失敗事例も踏まえることです。そして、まったく初めてという場合には、専門家と一緒に検討するといいでしょう。専門家は、各種法令や裁判例やクライアントの経験も踏まえてアドバイスしてくれるはずです。
このように具体的に検討していきながら、「今回の案件の課題」を浮き彫りにしていきます。
浮き彫りにした「課題」を評価して、対策を検討することになります。ここでは関係部署とも連携して、評価や対応策ということを考えるのがより良いものになります。評価についても、すべてを同じく評価するのではなく、発生の可能性の高さや損害の重大さを分類して、優先順位を検討してみてください。
リスクが見えたらどうするの?
契約書をチェックしながらリスクが見えたら、その対応策。リスクを受け入れることができるのか?回避や低減する策はあるのか?ということを踏まえて、契約書の内容を変更するか、そのまま契約を締結するか、またほかの対応をするか?ということになります。
ここで交渉して変更できるか否か?という相手方との力関係もでてきます。
もし、力関係が同じというのであれば、「お互いこうしていこう!」という確認をしながら、ビジネスモデルの再検討もミーティングでできるでしょう。逆に交渉が難しく契約書の修正が難しいという場合であれば、覚書や特約で個別対応が可能かどうか?、自社内でのリスク対策が可能かどうか?を踏まえて決定することになるでしょう。
ここで、一つ加えていただきたいことがあります。
リスクを考えることは重要なことです。リスクを負うことも避けたいことです。ただ、リスクを恐れたり、「ま、大丈夫か」という感じで、契約書を読むのを終わらせないことです。忘れてはいけない視点は、何よりもより良いビジネスモデルを作ることです。様々な事例を知っている専門家も交え、自社内の事情を踏まえてチェックすると、より良いビジネスモデルが出来上がる可能性が高まってきます。
リスクを具体的にするということは、より良いビジネスをしていくためだということも忘れずにいてほしいと思います。